臨整外・34巻2号・135〜141・1999年2月

シンポジウム−日本における新しい人工膝関節の開発−

児玉・山本式人工膝関節New typeの開発

人工膝関節のデザイン変遷

松山赤十字病院リウマチセンター 山本純己・仲田三平・田窪伸夫・山田一人

Key words:

  • total knee replacement: TKR(人工膝関節置換術)
  • design of the knee prosthesis(人工膝関節のデザイン)
  • Kodama- Yamamoto knee prosthesis(児玉・山本式人工膝関節)
  • 臨整外 34:135〜141, 1999.

  • 人工膝関節のデザイン変遷
  • 人工膝関節のsurvival rate
  • 人工膝関節のデザインと膝屈曲角度
  • 考察
  • 文献
  • 人工膝関節のデザイン変遷

     1970年代の初期は表面置換型人工膝関節の揺籃期であり、試行錯誤的に種々の試みが行われた時期であったといえよう。われわれはnon-cement, non-constrainedのコンセプトのもとに、多くのバイオメカニカルなデータを取り入れた改良を行い、1975年にMark II(ミズホ医科、日本製)を開発、発表した(図2)。

     Mark IIの成績に関しては、すでに多くの報告7, 8, 10)を行ってきたが、デザインに関していえば、脛骨部品が初期の人工膝関節によくみられる馬蹄型であったため、骨との接触面が少ないという欠点が指摘されよう。また、大腿骨部品では摺動面の形状はバイオメカニカルな計算のもとにデザインされたが、金属内面の固定力が不十分であったと考えられる。さらに、Mark IIでは膝蓋骨の置換が行われていなかったため、膝蓋・大腿関節面での摩擦力の増加が大腿骨側でのせん断応力の増加へとつながったものと考えられる。1985年に改良、Mark III(サックレー社、英国製)を開発し、1994年まで使用した。

     Mark IIからMark IIIへの改良の主な点は、大腿骨部品の内面のデザインを改良することにより、press-fitによる骨との固定力の増強を図ったこと、また、脛骨側では脛骨部品を改良して、脛骨の骨切除面との接触面積を広くするようにした。さらにMark IIIからは膝蓋骨部品の導入により、P-F関節の置換を行うようにしたことなどである。

     Mark IV(インプラントインターナショナル社、英国製)は主として、大腿骨部品の後方部の曲率の変更を行うことにより、関節可動域の増加を意図したものである。しかし、Mark IVでは大腿骨部品の前後の骨切りを平行になるようにしたため、手術の難度が上り、術後、大腿骨部品と大腿骨の間に間隙が生じるケースが増え、さらなる改良を余儀なくされた。脛骨部品、膝蓋骨部品はMark IIIのデザインを踏襲して用いる。

     1997年の後期よりはMark IVでの欠陥を改良して、新しくNew type(コリン社、英国製)を開発し、現在使用している。

    *

    図2:1997年より使用されている児玉・山本式人工膝関節New type

    New typeは図2に示すごとく、大腿骨部品の内部構造をA-P面で3゜のアングルを有するようにし、骨切りの際、コンポーネントと骨との間に間隙が生じることを防ぐようにした。さらに、内面には従来のpress-fitのマイクロテキスチャーの上からポアサイズ250μm〜300μmのプラズマコーテイングスプレーを施した。これにより金属面と骨との接触面はさらに増やし、micro fitによる強固な固定力が確保できるようにした。

     われわれの人工膝関節では、プラスチック製の部品では脛骨部品、膝蓋骨部品ともに他の機種で多くみられるmetal backingは行っていない。その理由は、脛骨部品では現在の最低8mmの厚さがあれば、日本人には十分で、ひずみなど生じる心配の少ないこと、さらに人工関節のような体内埋入物はできるだけ小さく、しかも量、種類を少なくしようとするのがわれわれの人工関節に対する基本的考え方である。また、突発的なことが発生しても金属同士の接触によるメタローシスの可能性をなくそうという考えでもある。


    人工膝関節のsurvival rate


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