Q1人工関節手術をすれば痛みはとまりますか?
A 私たちの経験では、人工膝関節の場合、約95%の人は手術後膝の痛みが消失しています。しかし、残りの5%くらいは、違和感などが残る人もいます。これは、人工関節で置き換えるのは破壊された軟骨と骨だけですので、たまに周囲の靭帯や筋力に痛みが残る場合があるようです。
Q2人工関節手術はどのくらい長持ちしますか?
A 松山赤十字病院リウマチセンターのデータですが、人工膝関節手術を1996年までに1,350関節行いました。これらの人たちの手術後の経過を調査した結果、10年間のサバイバルレイト(人工膝関節が体の中でうまく働いている率)は90.5%でした。これは、10人の人が人工膝関節手術を受けると、その後10年間に9人は問題なかったが、1人ぐらいは再手術が必要であったということを示すデータです。
現在は、人工関節のデザインも改良され手術成績ももっと向上していますし、後で述べる注意事項を守れば、さらに再手術の率は減ると考えています。
Q3手術は危険ですか?
A 手術の危険度は通常の大手術と同様と考えていただければいいと思います。手術前に全身症状を詳しく検査し、十分な対策をとりますが、やはり手術は全く安全とはいえないと思います。特に高齢者、慢性関節リウマチの重症度の高い人では危険度は増すといえます。手術の安全を高めるためには、人工関節手術の経験を多く積んだ術者、手術助手、麻酔医、看護婦、PT、OTが討論を重ね、チームで参加する体制ができていることが大切であるといえます。
Q4人工関節手術は痛いものですか?
A 人工関節手術の麻酔では人工関節手術を熟知した麻酔医が担当することが重要で、当院ではそのようにしています。手術中は痛くないようにします。安全性を高めるため当院では、人工膝関節、人工股関節の手術の場合、通常は脊椎麻酔で下半身だけ麻酔をかけるようにします。したがって、手術中、意識ははっきりしています。希望により、手術中、眠らせてもらうことも可能です。
手術後も、麻酔のチューブを脊髄の硬膜外に残していますので、適宜麻酔薬を入れ、手術後の痛みをとることも可能です。
|
* |
Q5人工関節手術には輸血が必要ですか?
A 人工膝関節手術の場合、通常1,000cc近い出血が手術中、手術後にみられます。しかし、私たちは他人の血液を輸血しない方針をとっています。そのためには、手術前に貯血といって、本人の血液を採り、保存します。手術中および手術後の出血に対してはその本人の血液を使用します。その他、血液回収装置(セルセーバー)を使い、手術中および手術後に出血した血液は濾過してまた体に返す方法も同時に活用します。
これらの方法により、通常は輸血なしで人工関節手術を行うようにしています。人工股関節手術の場合もほぼ同様です。人工肘関節手術では出血が少ないので通常は輸血は不要です。
Q6入院期間はどのくらいかかりますか?
A 膝、股関節の場合、入院し手術までに自分の血液の貯血や全身の検査のため約3週間を要します。
手術後は、手術をした関節に血液を抜くための管(ドレーン)を入れています。管が抜けると膝に布製のサポーターをつけて歩行訓練を開始します。最初は歩行器を使って歩きます。人工股関節や片膝の人工関節手術の場合、通常は手術後6週間で、また人工肘関節では4週間で退院が可能になるまで回復します。
しかし、手術のタイミングが遅れて骨の破壊が強い場合や骨移植を要する人、筋肉の力が弱い人、両膝手術を行った人、また慢性関節リウマチでは薬物療法がうまくいっていない人などでは、当然これより長い期間の入院治療、リハビリが必要となります。
Q7人工関節を長持ちさせるコツは何ですか?
A 人工関節手術は前述のように永久的なものではありませんので、手術後の注意事項を守っていただきたいと思います。
まず、手術後の日常生活では歩きすぎなど無理をしないこと、指導された正しい動作を守ること、定期的な(少なくとも年に1回)レントゲン検査や医師の診察を受けることが大切です。また、何か異常(たとえば、手術部に発熱、発赤、異常な痛みなど)がみられたらすぐに手術を受けた病院を受診して下さい。
|